下柳が料理を始めたのは小学生の頃。通算129勝を挙げて阪神の黄金期を支えた名投手が、主婦顔負けのエプロン姿でキッチンに立ち、鮮やかな包丁さばきを見せる。日本中が「ステイホーム」とされたあの苦しいコロナ禍、多くのアスリートが自宅トレーニング動画を配信する中、下柳は自宅のキッチンを公開して「お料理ライフ」をYouTubeで提案したのが番組開始のきっかけ。始めは4話で終了する予定だったが、一人暮らしのサラリーマンや学生から「生きる元気が出た」などの反響があり、36話まで続く人気番組に。更に、下柳の手料理は自宅を飛び出して、甲子園球場の売店で実際にメニュー化され、テレビの外でも楽しめるほどになった。
作品紹介
阪神や北海道日本ハムなど4球団で活躍し、最年長最多勝の記録を持つ下柳剛は、実は料理が得意。この番組では下柳の自宅キッチンから、「誰でも手軽に作れる男の一人飯」を伝授する。日本中が苦しいコロナ禍に、下柳は言った。「なかなか外に出られませんが、みんなおいしいご飯を食べなきゃ。学生さん、単身赴任の人!ご家族と住むお父さんも時にはご家族に作ってあげたらいかがでしょう」。自身もステイホームで心が壊れかけたが料理によって救われたと話す。マウンドでは闘志むき出しで暴れまくった鉄腕サウスポーの意外な一面。対戦では見せなかった笑みとダジャレで、台所から発するメッセージには温かみと独特のユーモアがあふれている。
作品動画
【審査員講評】
東京新聞 文化芸能部 部長 宮崎 美紀子
番組の魅力は「下柳のおじちゃん」に尽きる。現役時代は寡黙で不愛想。お立ち台を拒否し、怒って地面にグラブを叩きつける。犬にしか興味がない‥など、とっつきにくい印象だった下柳さんが、こんなにお茶目な人だったとは。おじちゃんのかわいらしさを料理する番組と言ってもいい。料理の腕前は上手すぎず下手すぎず、作る料理の難易度は高すぎず低すぎず、英語は話せるのか話せないのかわからない。この緩さ、絶妙な味付けである。