歌詞の内容や、歌手の持つエピソード、曲のジャンルなどと関連する料理を拵える番組。一軒の飲食店を舞台に、女主人のこだわりやしつらえなど丁寧な暮らしぶりも毎回少しずつ紹介し、店や顔の見えない店主の輪郭が回を追うごとに少しずつ明らかになるドラマ性も若干持たせた。提出した作品は横浜と伊勢佐木町を舞台にした歌と関連する料理をかけあわせたもの。他の回では、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」と終戦後寒さに震えながら連絡船に乗り込む人を温めた青森の郷土料理「生姜味噌おでん」を紹介したり、ちあきなおみの「黄昏のビギン」ではプロデューサーであった夫と開いた喫茶店の名物「クラブハウスサンド」などを取り上げている。
作品紹介
チャンネル銀河の編成方針のひとつである「日本のうた」にフォーカスし、万人が興味を持つ「食」とかけあわせた10分×10本のミニ番組。「日本のうた」の中でも世界的にもブームとなっている昭和歌謡を取り上げることで、国内はもとより海外の番組販売にも結び付けることを目的のひとつとしている。既に地上波ローカル局には販売済みで、他からも引き合いが多くシーズン2も制作中。音楽の持つ世界観を優先させるためあえてレシピは最小限のテロップとし、詳細はホームページで展開している。さらにチャンネル銀河の運営する演歌歌謡のデジタルサイト「うたびと」でも本番組のコラムを紹介している。
©チャンネル銀河/テレコムスタッフ
作品動画
【審査員講評】
弁護士 田中 早苗
昭和歌謡と料理を掛け合わせた不思議な番組。とにかく映像が素敵。別荘のような料理店に女店主と小鳥のピピ。見事な手捌きで手際良く料理が作られる中に「伊勢佐木町ブルース」が流れる。こんなに艶かしい歌だったのかと再発見。NHKの紅白歌合戦では吐息部分を楽器で奏でたというエピソードを字幕で紹介。クスッと笑える。もちろん出来上がった料理も美味しそう。映像、音響、構成、全てが素晴らしい。秀作である。