オリジナル番組賞 審査員特別賞
伊藤大輔監督特集番組 甦るフィルム
~時代劇の父と幻の映画の旅路~
衛星劇場 (株式会社衛星劇場)
時代劇の父と呼ばれる映画監督伊藤大輔( 1 8 9 8 - 1 9 8 1 )。没後3 0 年となる2011年に期して、代表作「忠次旅日記」の幻のフィルムがデジタル復元されることになった。衛星劇場でのデジタル復元版テレビ初放送に際し、数奇な運命を辿った幻のフィルムと不世出の巨匠が辿った足跡を追う。
作品紹介
映画ファンの伝説となっている一つの作品がある。1959年にある映画誌が行った「日本映画60年最高傑作ベスト10」で小津、溝口や黒沢らの作品を抑えて一位に輝いたのが、その作品「忠次旅日記」。1927年に製作され大ヒットした、このサイレント映画の監督を務めたのが今でも"時代劇の父"と呼ばれる名匠・伊藤大輔。時代劇に新たな解釈と、斬新な映像手法で人々を魅了した。そんな伊藤監督の代表作「忠次旅日記」のフィルムも、戦争を経て消失したと思われていた、しかし…。幻のフィルムが、1991年に広島の民家で発見されたのだ。番組では、国立近代美術館フィルムセンターを中心に、朽ち果てた状態で再生不能と思われたフィルムがその後20年をかけて人々の手で復元されていく軌跡と、伊藤大輔を知るスタッフ、俳優等のインタビューを交え、不世出の巨匠が辿った足跡を追い、監督の情熱と映画を愛する者たちがつないだ想いを綴った。
【講評】:石井 彰 審査員
今年から設定したこの賞は、特に企画性やオリジナリティなどを評価して顕彰するものです。今回はドキュメンタリー部門で最後まで最優秀賞を競いながら惜しくも受賞を逃した「伊藤大輔監督特集番組 甦るフィルム~時代劇の父と幻の映画の旅路」に贈ることが審査員の満場一致で決まりました。勧善懲悪中心の時代劇から、「裏切りと別れ」を物語のテーマに置き、大胆な立ち回りと移動撮影を多用した斬新な映像で観客を魅了した伊藤監督。しかし代表作で1927年に制作されたサイレント映画「忠次旅日記」は戦争で消失して残っていませんでした。その幻のフィルムが1991年に広島の民家で発見され、傷んだフィルムを最新のデジタル技術と職人たちの緻密な手作業によって復元、上映されるまでを描き、構成も素晴らしい記録です。映画や放送をどのように記録・保存・公開していくかを、全ての関係者に問いかける普遍性を持った番組としても高く評価された。
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