オリジナル番組賞 ドラマ番組部門
スペシャルドラマ 洞窟おじさん
NHK BSプレミアム(日本放送協会)
43年もの間、誰にも頼らずにサバイバル生活を続けてきた男の実話をドラマ化することで、“生きる”ことへの価値が揺らいでいる今、その価値をアピールしようと思った。同時に、43年間、各地の山や川を転々とし続けた姿を描くことで、居場所を求めてさまよう現代人の共感を呼び覚まそうとした。
作品紹介
13歳で山奥に逃亡し、43年にわたるサバイバル生活の末に発見された男の実話をもとにしたドラマ。
昭和34年、両親から激しく虐待されていた加山一馬は、愛犬のシロとともに山奥の洞窟に隠れ住む。そして、自力でウサギやイノシシを捕って生き延びてゆく。だが、シロの死によって、住み慣れた洞窟を後にする。成長した一馬は、親切な農家の夫婦と出会うが、虐待がトラウマとなっているため、その愛情を受け入れることが出来ない。さらに、知り合った商人から、山で採ったランで金を稼ぐことを教わるが、裏切られてしまう。絶望し、樹海に足を踏み入れる一馬だったが、死体を目の当たりにし、自殺を思いとどまる。
平成15年、北関東の川べりで釣った魚を売って暮らしていた一馬は、ホームレスから読み書きを学び、初恋を経験する。遂に居場所を見つけたかに思えたが、ある日、故障した自販機をこじあけようとして、逮捕されてしまう…。
【講評】 ノンフィクション作家 吉岡 忍
親からの暴力に耐えかね、13歳で家を飛びだし、山奥で一人暮らし。木の実を頬ばり、蛇や熊を捕まえて食い、以来、56歳の現在まで山や町や川原で暮らしてきた男の実話、ということに驚く。原作があるとはいえ、少年役の少年も、その後の成人した男を演じるリリー・フランキーも好演。「人に優しくされたことがねえ」「人が怖い」とつぶやく男だが、その前後のストーリーと描写(日雇いの工事現場や、野生の蘭を採って売るなど、便利にこき使われてきた出来事の数々)がしっかり描かれているので、これらの台詞が浮いていないのもよい。
特異な男の人生をたどりながら、その背景にある現代の日本がくっきりと見える。制作者と出演者の視線の深さを感じさせる作品であった。
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